次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「個人的に付き合いのある友達とは定期的に会ってるし、わざわざ行かなくても……」

「そうか」

 それ以上はなにも言われなかったが、直人が来たので返事を書くのは後回しにすることにした。そして、わざわざ隣に座ってきた直人を窺う。

「疲れてるみたいだけど、大丈夫? 無理しなくても」

「平気だ」

 きっぱりとした物言いに、これ以上私が強く言えることはないので、おとなしくリモコンを操作した。間もなく映画が始まり、私はそちらに意識を集中させる。彼とは隣に座っているけどクッションひとつ分の間が空いていた。

 当たり前かもしれないが、一緒に観る、といっても映画を観ている以上、彼との間に会話なんて一切ない。

 私も元々ひとりで集中して観るタイプだし、余計な会話はしないし、要らない。今日は電気を点けているので、なんだか妙な感じもしたが、映画が始まったらすぐにそちらに意識はもっていかれる。

 何度も見ている映画で、色々思うところはあるが、やはり胸に迫るものがある。なんといっても主役を演じている俳優さんは熱い男を演じさせたら天下一品だと思う。

 その彼を補佐する役の俳優さんもはまり役で見ていて気持ちがいい。やっぱり映画はいいなぁ。

 あっという間にエンドロールとなり、私は両手を上に思いっきり伸ばした。ここでようやく隣に座っている直人に目をやる。
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