君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
もし先輩とその人が付き合ってたとしたら情報通の佐々木先輩が知らないはずないし、そうじゃなくても部内で噂になるに決まってる。
でもそれがないってことは、付き合ってはないんだ。
つまり、私にもチャンスがある。
そう簡単に諦めるつもりはないけど、先輩に全く相手にされてないことも理解してる。
雑誌で読んだり友達から教えてもらったアピールだって試してるのに、全然効果なし。部活の後輩として可愛がってくれてるだけ。
初恋がこんなに難しいものになるとは。
これ以上ネガティブな思考に引っ張られないために気合を入れ直して、マネージャーの仕事に専念した。
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太陽が照りつけて、外にいたら溶けちゃうんじゃないかってくらい暑い昼の時間。
佐々木先輩に用事があって、1つ上の階にある2年生の教室に向かう。
先輩しかいない階に行くのって、なかなか勇気いるんだよなぁ。
でも急ぎの用事だし先輩を待たせることは出来ないから足を前に進める、と。
「伊織~放課後空いてる?」
「ちょっと抜けがけ禁止」
「最近伊織遊んでくれないんだもんー」
「…………!」