君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
残るは残酷な現実のみ。
夢のようだった時間が終わりを告げる。
恋人同士遊園地に行ったり映画館に行ったり、そういうことは伊織君には当てはまらない。
好きな相手に好きと伝えたら関係が終わるなんて。
そんなの、あんまりだ。
でも伊織君と過ごせる時間を失うくらいなら。
あの黒板に書こうとした想いは、言っちゃダメなんだ。
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「先生人使い荒いよねー、日直だからって雑用させてさぁ」
「先生も忙しいってことにしておこう。断れなかった私も悪いし」
「断れないのは仕方ないよ」
教卓の上に積まれたプリントの山を見て、2人で苦笑いする。
授業に使う資料のホチキス留めと折り込みを日直のついでだからと頼まれてしまったのだ。
「しかもこういうときに限ってもう片方は欠席だし」
「ごめんね結衣、代わりに仕事手伝ってもらって」
「1人でやるのは無理じゃんこれ」