君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
さっきは教室から職員室までの距離が遠くて不満だったけど、今はそれがありがたく感じる。単純だ。
今日の数学は難しかっただとか体育は楽しかったとか色々話しているうちに教室に到着。
「……あ、春子ちゃん」
伊織君の声につられて私も春子ちゃんへ目を向ける。
「春子ちゃん、枯れてきちゃってるね」
適度に水やりをして肥料も与えていたけど、やはり限界というものがあるのか。
葉は少し茶色に変化していて純白だった花びらも数枚散ってしまっている。
「もう、綺麗に咲かない?」
伊織君は焦燥感で塗りたくった声で言う。
「そろそろ寿命かもね。むしろよくここまで咲き続けたなっていうくらい」
「……そっか」
始めは花の種類がマーガレットだってことも春子ちゃんって名前も知らなかったのに、私が思うより気に入っていたみたいだ。
「これからもちゃんとお世話することくらいしか私達にはしてあげられないから」
「そうだな」
んー……、水のあげ方や肥料を変えたらどうにかなるのかな?ちゃんと調べてみないと。
「森野さん」
「ん?……っ」