君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「今日やった56ページの応用問題とプリントの問題がよく分かんなかった」
「そこは私もなんとか解けたレベルだから上手く教えられるか分かんないけど……」
「教えてください香里センセー」
「茶化さないでください一条君。では授業を始めますよ」
軽口をたたけば、それに先生みたいな口調で言い返してくる。何だかんだノッてくれるから面白い。
「まずこの問題文の意味を整理するとね……」
「おう」
窓から差し込む夕日でほんのり茶色に見える黒髪がさらり、重力で垂れ下がって香里の目元を隠す。
表情が見えないんじゃ向かい合ってる意味がない、と手を伸ばして耳にかけ直した。
「ひっ?!」
「何変な声だしてんの。髪、邪魔かと思って」
「あ、うん、ありがとう。問題文の続きは」
香里の説明に耳を傾けつつも、気づかれない程度に目の前にある顔を見つめる。
中学のときよりも垢抜けて大人っぽくなったな。どちらかと言えば可愛い、というよりは綺麗の部類か。
学年、ひいては学校にはもっと美人や可愛い子はたくさんいるけど、俺は香里の方が好きだ。