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予想外の気づかいに私は一瞬戸惑った。

「はい、もう、大丈夫です。」

「良かった」
聖也さんはそう笑って席についた。

食卓の会話の中心はこの間の顔合わせの時と同じく双方の両親が中心で、私と誠也さんはそれっきり言葉を交わさなかった。

食事を終え、家に帰っていく両親を見おくる。
「ご迷惑かけないようにね。また会いに来るわ。」
母はそれだけ言って私の髪を撫で、タクシーに乗り込んだ。

走り去っていくタクシーのテールランプを見つめ、私は両親に捨てられたような気分になった。

これから私は他人の家で暮らさないといけないのに、それだけ?
私はもう百川家の人間だと思ってるの?

涙が滲んだ。
18にもなって両親と離れたくらいで泣くのは恥ずかしかったが、それでも悲しいものは悲しかった。
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