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沈んだ気分で部屋に戻り、机に突っ伏した。

まだ高校生だから勉強もするでしょうと、雅さんが用意してくれたものだ。

これから、学校に行くにも百川家の車で送り迎えされるのだ。

電車に乗ることも、学校帰りに友達と寄り道することもなくなるだろう。

『まあ、灯里はもう人妻みたいなものだもんね』

百川家で暮らすことを、クラスで親しくしている女子のただ一人だけに打ち明けた時、このような言葉を投げかけられた。

自分が百川家の人間によって、今までの日常から隔絶されているような、そんな気がした。

不意に部屋のドアをノックする音が聞こえ、私はビクっと顔をあげた。

「聖也ですけど、入っても大丈夫?」
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