イジワル御曹司に愛されています
「じゃあ、もう一回していい?」

「え!」

「俺、さっきは必死で、遊べなかったし」


え、次は遊ぶ気なの? 遊ぶってなに?

両腕で私を抱きしめ、ごろごろと揺するようにしながら体重をかけてくる。パンダに戯れられているタイヤになった気がした。


「あの、あの、いいんだけど、その前になにか食べちゃダメかな。今にもおなかが鳴りそうで…」

「コンビニ行く?」

「うん、あと、できたらその前にシャワーを」

「いいな」


いいな?

言うなり都筑くんは身体を起こし、私の手を引いてベッドを降りようとする。


「あの?」

「シャワー、行こうぜ」

「えっ、あの、タオルとか貸してくれたら、それでいいんだけど」

「なに言ってんの?」


抵抗する私をものともせず、ずるずるとベッドから引きずり出してしまう。

部屋は薄暗く、目が慣れていてさえなにもかもがはっきりとは見えない。とはいえ、私は必死にブランケットやタオルをかき集めて身体を隠した。


「一緒に浴びるの?」

「そういうもんだから」

「ほんとに?」

「ほんとほんと。当たり前」

「私が知らないと思って適当言ってない?」


都筑くんが声をたてて笑った。その笑い顔が、あんまり素直で、なんの距離も感じさせないものだったので見とれた隙に、ぐいと引っ張られる。

巻きつけたブランケットごと床に落ち、ひざを打って呻く私を都筑くんが抱え上げた。腰に腕を回して、助け起こしているような恰好なんだけれど、足がほとんどつかなくて、逃げられない。

バスルームのほうへ進むごとに、ブランケットがずるずるとほどけて身体が露わになっていく。


「待って、待って、嫌だって!」

「待たない」

「じゃ、じゃあ、せめて電気つけないで」
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