イジワル御曹司に愛されています
眉をひそめられてしまった。そもそも撮られるのを嫌がっていたわけだし、送らないほうがいいのかな…。


「えっと、嫌なら…」

「いや、嫌っていうか…なんか変だな? ちょっとその写真、見せてみろ」

「え?」


言われた通り、携帯の画面を見せる。都筑くんは「なんだこれ」と目を剥いた。


「俺がもらったのと違う」

「ええ?」


自分の携帯を手早く操作し、見せてくれたものに、私は度肝を抜かれた。


「なにこれ!」

「俺が"なにこれ"なんだけど。どういうメッセージ?」

「や、ええと…」


都筑くんの携帯に入っていたのは、私と倉上さんの写真だった。ちょうどそういう瞬間を狙ったんだろう、親しそうに顔をくっつけて話している、偶然の産物。背景からして、あの展示会の最中のものだ。

私は焦りすぎて、あわあわと説明にならない説明をした。


「あのっ、いつもそんなじゃなくて、覚えてないんだけど、たまたまで、た、楽しそうに見えるのも誤解で、普通に、仕事で」


松原さんー!

うろたえる私に、いっそう怪しむような目つきを投げて、都筑くんは携帯を伏せてしまった。


「別にいいよ、倉上は話しやすいし、お前の王子らしいし」

「それは、だから」

「ていうか松原さんは、お前に送ったほうの場面を見てたってことだな? そのうえで俺にこれを送ってきたんだな?」


動揺の汗が止まらない中で、言われた意味を考える。


「…そうだね」

「どんな回りくどい嫌がらせだよ…」

「どうしてこの写真のこと、話してくれなかったの」

「千野にも送ってあるって聞いたから、お前のほうからなにか言ってくるだろうと思って、待ってたんだよ」
< 156 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop