ガラクタ♂♀狂想曲
「待ってくださいオーナー!」
そしてこちらを向いたオーナーは、パサパサと風で流れる髪を、振り払うかのように頭へ手をやる。
「気が変わりましたか?」
「……どうぞ、お話しください」
「ここで立ち話もどうかと思いますが」
「いえ。手短にお願いします」
「わかりました。それでは、要件だけ。愁がわたしと津川さんを会わせたいそうです」
「……」
え。
「つい先ほど、珍しく着信がありまして」
「そ、そうですか」
「しかし、わたしにとっても、いささかこの展開は予想外でしたので驚きました」
まさかデンちゃん、何か気づいているとか。そんなことは、ないと思うけれど。……どうなのだろう。
「そこでひとつ、ご相談なのですが」
「…なんでしょう?」
「いまから、作戦でも練りませんか」
「……作戦、って」
「いわば口裏合わせです。どう転ぶにせよ、うまく立ち回らないといけません。すぐ済みます」
何台も目の前を通り過ぎていく車に視線を移しながらそう口を開き、そして手を上げる。ランプを灯した一台のタクシーが道路脇へすうっと減速しながら近づき止まった。
「付き合いで少々お酒が入っていますので、タクシーで向かいましょう」
「…あの、どこへ」
「——すみません、運転手さん。こちらのお嬢さんを乗せ、そこの信号を折れたところで待機しててください。5分ほどすれば、わたしもすぐ向かいます」
タクシーの中へ頭を突っ込んでそう言ったオーナーが振り返り、私を中へ促すように片方の手の平をくるりと上へ向けた。