ガラクタ♂♀狂想曲
彼女には、あいつとの連絡は絶っていると話したが——、いや実際、絶ってはいたのだが。行先を知っていた俺は功績の数々を知っている。
小さくではあったが隼人の名前が記載されている新聞の束に目をやった。
彼女はあそこに、まさか隼人の名前が書いてあるだなんて思ってもいなかっただろう。誰の差し金なのかコンクール荒らしといわれてもおかしくないほど、あちこちに顔を出していた隼人。その姿が眩しくて何度も目を細めた。
「——さてと」
ハンドルを握り、バックミラーで身形のチェックを軽く済ませる。
今日は八木のパーティーだ。俺と八木はホスト時代の同期だが同じ店ではない。奴がいた店は歌舞伎町でもトップクラスの店で、そこの幹部にまであがった目利きが冴える奴。そしてともに店を立ち上げた人物。信頼している。
今回は元サヤ婚なのもあり籍を入れ直すつもりだけだった八木。幸せそうな顔を見ていると祝ってやりたくなると同時に、少し恥ずかしい思いをさせたくなり今回の運びとなった。
企画したのが自分だということもあり準備をするため店に向かう。彼女と隼人、それからアルバイトの池村さんが手伝いに来ることになっていた。
駐車場へ車を回せば入口付近に数人見える。
今日の主役は八木なのだしラフな格好でいいとは伝えたが、髪の毛もセットしていない隼人の姿が目に入った。思わず笑ってしまう。
「オーナーっっ!!!!こんにちは!!!」
「なにか用ですか?」
「あああ、もおおお!!!今日は仕事じゃないんだし無礼講でいきましょ!堅苦しいのなし!わかった?」
「うるさいです」
「ちょっとおおお」
煩い。これに尽きる。
話しかけてきたのはアルバイトの池村さん。頭と口が繋がっているのではないかと思えるほど、なんでもかんでも口にする。そんな彼女を面接したのは八木だ。奴の人選に、はじめて不安を覚えたが、なんでも池村さんは新しい風を吹き込んでくれるタイプなのだそうだ。
実際、俺のことをはじめて見たとき「気持ち悪い」と面と向かっていわれたので、新しいといえば新しいだろうとは思う。しかし苦手だ。
以前は八木の周りをウロチョロしていたのに、いまは俺がターゲットになっているようだ。「気持ち悪い」といわれたことを根に持っているわけではないけれど、どうも扱いにくく困っていた。