ガラクタ♂♀狂想曲
「俺、もう出る」
「知ってる。瑠美ちゃんと会うんでしょ?」
「盗み聞きしたな?」
盗み聞きも何も、TVも何もつけていない部屋でどうしろと。それに顔を見ればわかる。よっぽど嬉しいんだなって。
すると鏡の中のデンちゃんの視線がゆっくりと逸れていき、私の首筋で止まった。
そして鏡の中にいる私についたキスマークに目をやり、そこを撫でるように指をあて——、まるでどこかのカリスマ美容師のような視線で、ふたたび鏡の中の私と目を合わせてくる。
「なによ、その顔」
「———どんな顔?」
「どうだ? みたいな顔」
「俺が?」
くすりと小さく笑うデンちゃん。その余裕の態度が、そもそもそう見える。
「私は見えないところを選んでつけたのに、デンちゃんのコレはないでしょ?」
「——選んでつけた?」
やっぱり気づいていなかったようだ。ちょこんと首を傾げた背の高いデンちゃんが、鏡を見ようとさらに背伸びをする。
「ちょ、ちょっと! おも、おも、重いってデンちゃん!!」
まるで鏡の前の私が見えていないかのようにぐいぐいと圧し掛かかり、自らの胸元を鏡に近づけた。当然私は体勢が保てず、鏡に両手をつく。
「うわあ」
私の頭上から唸るようなデンちゃんの声が聞こえ、圧し掛かっていた重みが、ふわっと軽くなる。