ガラクタ♂♀狂想曲

「愁、か」


このまま捨ててしまおうかと思って乱雑に丸めてみたけれど、思いとどまって真っすぐに引き延ばす。そして頭を切り替えるべく求人誌を広げPCの電源を入れた。




ピンポーン。




しばつく目を時計にやった。どうやら30分ほどウトウトしていたらしい。
ついさっき立ち上げたパソコンが、スタンバイの状態になっていた。そして、ふたたび鳴るチャイム。



「…誰」


のっそり起き上がり欠伸をひとつ。そしてゴシゴシ目をこすりつけながら足を一歩踏み出せば、どこかの骨がポキッと鳴った。玄関へ歩み寄り、ドアスコープへ頭を寄せる。

だけど真っ暗。それどころか、なにも見えない。


「……」


そのヘンな体勢のまま、思わず固まってしまった私。だってこれは夜の暗さだけじゃなく、向こうから手で押さえているかなにか。そしてそれは、いつかを思い出させる馴染みある光景で——。

以前ドアスコープを確認しないで私が鍵を開けたとき、"俺じゃなかったらどうするんだ"ってデンちゃんが怒ったことがあった。それ以来、私がここを覗くたびにデンちゃんがこれをやっていた。


——ガチャ


やっぱりデンちゃん。

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