ガラクタ♂♀狂想曲

「こんばんは」


そう言いながらカシャカシャとコンビニの袋を私の前へ突き出してきた。


「プレミア買ってきた」


寝起きに起こった突然の現状を、うまく把握することができない私は口をぱくつかせる。


「はいどうぞ」

「——どうも」


ちょっと待って。だってこれまで音沙汰なく過ごした一ヶ月が、まるでなかったかのように普通。表情からすべて。


「中に、誰かいるとか?」


私が戸惑いを隠せないでいると、くいっと頭を傾け幾分声を落としてそう言ったデンちゃん。

なにこれ、どういうこと。


「ショコちゃん?」

「——えッ!?」

「誰かいるんだったら、帰るけど」

「あ、ああ、うん」

「そっか、残念」

「あ、違う!ええっと、いないけど?」


誰もいないけどさ? いないけど、どうなの。
まるで何もなかったかのようなデンちゃんの、日常的なほどに普通の流れ。

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