ガラクタ♂♀狂想曲

「じゃ上がってい?」


返事に迷う。だけどいままではこんなふうに聞いてこなかったから、少しは変わったのかな。


「……ねえデンちゃん。どうしたの急に」

「携帯のお礼?」

「あ、ああ」


なるほど、携帯の。だけどあれからまだ1時間と経っていないのに。


「どーもありがと、ショコちゃん」

「……いえいえ、それはそれは」

「おかげで助かった」


ぼーっと玄関に突っ立っていた私だけど、デンちゃのために道を開ける。


「どーぞ」

「おじゃましまーっす」


靴を脱ぎ私の前を通り過ぎたデンちゃん。だけど前とは違う嗅ぎなれない香水の香りがふわり。それだけが唯一、以前のデンちゃんとはハッキリと違った。

そしてすとんと定位置へ腰を落としたデンちゃんは、お気に入りのクッションをぽこぽこ叩き自分が買ってきたビールを開ける。


「はいショコちゃんも、どーぞ」


2本プシュッと。

< 63 / 333 >

この作品をシェア

pagetop