例えば危ない橋だったとして

また眠れなくなった。

ベッドに入ったが、今日の出来事が頭の中に繰り返し映し出されて、脳を休ませてはくれない。
助けてくれた時の黒澤くん、格好良かったな……なんて、意図せず心の中で呟いている。
即座に、あれは仕事上、仕方なく助けてくれただけで深い意味はないだろう、と思い直す。

それでもこの状況の中、黒澤くんは助けてくれた…。
眠れずに天井を見つめていると、頭が冴え渡って来る。

最後にふたりで会った日から半月ばかりが過ぎ、わたしの心は幾らかは落ち着きを取り戻した。
そして、この半月うじうじして泣いてばかりだったことを、自覚した。
今のわたしに、黒澤くんへ何かしてあげられることがあるのだろうか……何の役にも立てない気がする。

こんな自分では駄目だ……。
最低限、自分の足できちんと立って、迷惑を掛けないことだ。


うとうとし始めた頃には、カーテンの隙間から朝日が差し込む。
そんな日々が数日続き、12月に入った。

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