例えば危ない橋だったとして
「……ずっとっていつから……」
「……掘り下げるねー」
視線を外したまま、軽く苦笑いして見せた。
「……新入社員研修の時?」
黒澤くんの予想を遥か上を行く返答に、わたしは目をぱちくりさせる。
「そんな前から!? 嘘!」
「何で」
「だって、他の女の子と付き合ってたよね?」
「お前が他の奴と付き合ってたんだよ」
あっそうか、その頃は淳と……気が付いて口を噤んだ。
……というか今『お前』って言ったよね?
またひとつ黒澤くんの素顔が見れたようで、胸をときめかせる。
それにしても、新入社員研修の時だなんて、驚いた。
まだ解明されていない謎も多いけれど、それはまた後々聞いてみよう。
『何でも聞いて』と言ってくれて、本当に答えてくれる。
こんな途方もない安心感で包んでもらえるなんて、まるで夢のようだ。
黒澤くんを見つめ、知らず知らず笑みが零れる。
そんなわたしに気付き、彼も笑顔を返してくれた。