例えば危ない橋だったとして

お店を後にし、路地裏へ進むと、突然肩を抱き寄せられた。
黒澤くんがわたしに優しくキスを落とす。
次第に甘く深く絡み合う。
今は誰も居ないけれど、大通りを歩く誰かの目に止まったらどうしようと、興奮して来てしまう。

しばしキスに酔いしれた後、唇が離れると、甘い息が漏れ出た。
彼のコートの袖を掴んだまま、うっとりと見上げると、その色香漂う目付きに胸が痺れた。
黒澤くんも溜息を漏らし、呟く。

「……ふたりきりになれる所行きたい」

心臓が大きく鳴ったが、わたしは口元に手を添えて、頬を染めながら頷いた。

「……無理なら無理って言えよ」
「……大丈夫」

「もう待ったなしだからな。ていうか待ったって言っても、やめないから」

照れた面持ちで牽制され、益々顔が染まったが、再度大きく頷いた。

< 152 / 214 >

この作品をシェア

pagetop