例えば危ない橋だったとして

わたしは、黒澤くんの腕枕に身を預け、天井を仰いでいた。
隣の黒澤くんは、静かに瞼を閉じている。

「黒澤くん……寝た?」
「ん? うん……」

起きてるじゃん……心の中で突っ込みを入れつつ、あの話を振ってみた。

「あのさ……」
「うん?」

「……間部っちから元カノの話聞いたよ……」
「…………」

黒澤くんは瞼を閉じたまま険しい表情になり、つぶやいた。

「……間部……」

あっ怒ってる。不謹慎にも、ちょっと面白いと感じてしまった。

「ああいう綺麗な子がタイプってわけじゃないの……?」
「違うよ。大体あの人、3ヶ月しか付き合ってないし」

「そっか……」

視線を感じて目を向けると、黒澤くんがじっとわたしを見つめている。

「……信じられない?」
「そうじゃないけど……わたし、ちんちくりんだから」

「榊は可愛いよ」
「う、うん……そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど」

< 156 / 214 >

この作品をシェア

pagetop