例えば危ない橋だったとして
片手で頭を抱え、髪を握る。
「頭おかしいと思う。冷静になれなくなるし、我儘言いたくなる……。かっこ悪いな……」
あの完璧の仮面を被っていた皐が、手を震わせている。
「……それだけ、開いてくれたんでしょ? 心」
皐が顔を上げ、わたしに視線を投げた。
わたしは目元に涙が浮かんだことを感じ取ったが、そのまま続けた。
「わたし、いいよ。どんな皐でも、受け止めるよ。寂しい時は、一緒に泣くし、羽目外したら、叱るよ」
辺りにはまばらに人が居たが、わたしは両腕を広げ、笑顔を見せた。
皐は僅かに泣き出しそうな色を目元に浮かべたが、そのまま表情を隠す様にわたしの肩に顔を埋めた。
お互いの背中をきつく抱いた。
「……誰にも言うなよ」
沈黙を破り、皐が耳元で囁いた。
「……うん」
返事を口に出すと、思いもよらない言葉が返って来た。