例えば危ない橋だったとして
わたしは反射的に皐の髪を掴み、目を瞑っていた。
「んっんっ……」
皐の動きが止まり瞼を上げると、ぼんやりとわたしを見下ろしている。
「ごめん……あんまり優しく出来ないかも……」
呟いた皐がわたしの脚を腕に掛け、わたしに体重を乗せた。
「うぁ……」
皐とひとつになって、頭がのぼせ上がってくらくらする。
彼の肌に触れると、少し汗ばんで艶っぽい。
目の前に皐の切なそうな瞳が揺れている。
あぁ、またこの目だ……虚ろな目付きで見つめ返しながら、頬に手を伸ばした。
その瞬間、皐が囁いた。
「一千果、愛してる」
初めて聞いた言葉に、一瞬耳を疑った。
震えそうな腕を、皐の首に回した。
「わ……たしも……愛してる、皐……」
夢じゃないよね、これ……。
目頭が熱く、また涙が滲んで来る。
「……泣き虫」
わたしの姿に、皐が穏やかに微笑み返した。