例えば危ない橋だったとして
2時間程が経過し、スペインバルを後にする。
「美味しかったね~!」
笑い掛けると、更ちゃんが上目遣いで睨んだ。
「先輩、カラオケ行きましょう!」
「へっ? 今から? 明日もあるよ……」
その目力にたじろいでいると、更ちゃんが半ば強引に歩き出す。
「こういう時は発散しないと! 体に悪いです!」
更ちゃんの躍起になった表情が、わたしを想って提案してくれているんだと身に染みた。
その気持ちをありがたく受け取ることにした。
カラオケなんて久しぶりで、部屋に入ってまずその空間を見回してしまった。
更ちゃんとは前の部署の飲み会の時に何度か来たことがあるが、ふたりで来たのは初めてだ。
「先輩、何歌いますか? 入れてください!」
「更ちゃん上手いんだから、先入れなよ」
「何言ってんですか、先輩が発散するために来たのに!」