舞龍
揺月に名前を呼ばれ、これは自己紹介をすればいいのか?と考える。

「神道 雅。」

それだけ言って、揺月に

「席どこ?」

と聞くと、苦笑いしながら

「窓側の一番後ろだよ。」

と返してくれた。窓側。しかも一番後ろ。よし。寝れる。

そんなことを考えながら自分の席へと足を向ける。

カタッと席につくとHRの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
揺月が教室から出ていき、クラスはまた騒がしくなった。だけど、さすがに今私に話しかけれるような強者はいないだろう。そう思いながら窓の外を眺めていた私は、


「ねぇ!」


と、突然かけられることのないと思っていた声に驚いたのは言うまでもない。


「なに?」


そうぶっきらぼうに返すと、


「僕は美守 渚(みもり なぎさ)!きみのまえの席なんだよー!全然興味持ってくれないから話しかけちゃった!」


と女子顔負けの可愛らしい笑顔で話しかけてきた。クリーム色の髪の毛先がピンクになってる、多分彼にしか似合わないような髪型。背は座高から見て160ちょいくらい。それでもって細い。ただひたすらに細い。


「そう。」


と返すと、


つめたいなー!なんて言いながら私に飽きたのか携帯をいじり出した。まぁそっちの方が助かるし。なんて思っていたら、廊下の方から声が聞こえてきた。しかも複数。しかもおしゃべりなんて軽いものじゃない。一言で言えば悲鳴。悲鳴と言っても、恐怖とかそういうのじゃなくて、黄色いやつ。


「あー!きたきたー!」


前の席のピンクがなにかいってる。
さして気にもとめずに、空を眺めていると、

その黄色い悲鳴は1-Bに集まった。
ガラガラッとドアが開く音がして視線だけをそちらに向けると、制服を着崩した2人組がたっていた。

1人はどこからそんな色気引っ張り出してきてんだよってくらい色気垂れ流しの青色ヤロー。背は180くらいでワイシャツのボタンは3つ外してズボンはニッカポッカなにみだるだる。腰パンの域を軽く越してる。


もう一方はブロンドの髪に真っ赤なルビーのピアスをつけた長身男。180後半くらいの身長で足が嫌味なくらい長い。そいつも青色同様腰パンをなめてかかってる。
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