舞龍
生徒会室は、なんというか、その。
普通に部屋だった。
ソファーにテレビにゲーム。
冷蔵庫とキッチン、それに扉が両側に二つ。


あれ?生徒会室ってこんなのだっけ?

疑問を抱きながら部屋を眺めていると、右側のドアが開いた。

「ッ」


ドアから出てきたのは、迅だった。
いや、迅だったんだけど、上半身裸で髪は濡れてて。

タオルで拭きながらソファーに座った迅はあたしに視線を向けて、



「さっきぶりだな、雅。」



と、ニヤリと笑った。
迅のセリフにほかの3人は
「知り合いなの?!」
と驚いてた。



「その3人が生徒会ってことは、迅も生徒会役員なの?」


と聞くと、後ろから


「迅はこの学校の生徒会長だよ。」


という声が聞こえてきた。
振り返ると淡いオレンジ色の髪をしたメガネのイケメンが立っていた。


「あー!嶺くん!おかえりー。」


ピンクがそういうと、オレンジは
ただいま、と返しながらあたしに


「初めまして。神道 雅さん。俺は真遠 嶺(まとい れい)って言います。2-Aだよ。」


とふわりと笑った。ただし、目の奥は笑ってなんていないけど。
そっちがその気ならあたしだって徹底的に。


「初めまして。真遠先輩。」



と昔の笑みをまとった。
あの残虐だった頃の笑みを。
すると、オレンジは少し動揺しながら言った。


「うん。よろしく。」


「あの。別にあたしはそれでいいですけど、真遠先輩がその笑みを続けられるのならば、あたしも同じように接させていただきます。人は皆平等でなければいけませんから、ね?」


その瞬間、生徒会室は時が止まったような雰囲気につつまれた。


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