舞龍
side嶺


なぞの転校生。調べててできたのは、名前と性別のみ。こんなこと今まで無かった。

俺はそこら辺のやつよりは情報関係に優れていたし、ここの生徒の情報なら、すべて把握できるほどの技術はもっていた。けど、こんなに情報が少ないのは初めてだ。


そう思いながらスマホをいじっていると、一通のメールが届いた。



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嶺くんー!

今噂の美少女転校生ちゃんと接触中ー!

琉君が生徒会室につれてきたのー!

だから嶺くんもおいでー!

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調べててでこないなら直接ゆすればいい。そう思い生徒会室に足を進めた。


中に入ると栗色の長い髪を揺らしながら一人の女の子が立っていた。


「迅も生徒会役員なの?」


そういう彼女に答えをあげた。

すると彼女は、今まで感じたことのないような冷たい空気を身にまとい笑顔で

「初めまして。真遠先輩。」

といった。

そしてなにより彼女が俺の偽りの笑みを感じとったことに驚きを隠せなかった。

部屋の空気が一瞬にして凍ったようだった。こんな感覚は初めてで、本当に体が動かなくなった。今動いたら殺される。本気でそう思った。


すると彼女は


「そんなに怯えないでくださいよ。別にあたしから敵対したわけじゃないですよ?あたしは真遠先輩の真似っ子をしただけです。」


とふわりと笑った。

先ほどまでの殺気を全くと言っていいほど感じさせないその笑みは、可憐で気高く、そして。





消えてしまいそうなほど儚かった。
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