シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
わたしは、さっき聞こえた言い争いなど気にもしていないふりで尋ねる。
「合宿ってもう始まってる? 今からでも参加できるのかな」
「ああ、衛藤先生が職員室にいるから、顔見せてくればいいんじゃねーかな。夏休みだっつーのに、他の先生もいたし」
「あ、そうなんだ……教師って大変だね」
「だよな。いろいろやることあるらしい」
「今は、どういう時間?」
「最初のオリエンテーションが終わって、メインパート」
「何をすればいいの?」
「んと、この三日間で何かひとつ仕上げろって先生が言うから、俺はオリジナルやってみようかなと思ってさ」
「オリジナルの曲か。三人でやるの楽しみだね」
確か中二の夏休み明けには、航と亜依と遥人の三人は、バンドを結成していた。
わたしは合宿を欠席したから、二学期になって知った。
以前とは違う絆が三人を結びつけていること。
夏休みの合宿を通して、三人が強くつながったことを。
きっと今がその合宿なのだ。
かつて自分がいなかった場面に、わたしは居合わせている。
見られなかった光景。
聞けなかった言葉。
お気に入りの映画の、ディレタクターズカット版をのぞき見るような、いやそれよりももっと価値のある瞬間にわたしは立ち会っている。
わくわくしているわたしの心を、航のけげんそうな声が冷ました。
「三人って誰?」
「合宿ってもう始まってる? 今からでも参加できるのかな」
「ああ、衛藤先生が職員室にいるから、顔見せてくればいいんじゃねーかな。夏休みだっつーのに、他の先生もいたし」
「あ、そうなんだ……教師って大変だね」
「だよな。いろいろやることあるらしい」
「今は、どういう時間?」
「最初のオリエンテーションが終わって、メインパート」
「何をすればいいの?」
「んと、この三日間で何かひとつ仕上げろって先生が言うから、俺はオリジナルやってみようかなと思ってさ」
「オリジナルの曲か。三人でやるの楽しみだね」
確か中二の夏休み明けには、航と亜依と遥人の三人は、バンドを結成していた。
わたしは合宿を欠席したから、二学期になって知った。
以前とは違う絆が三人を結びつけていること。
夏休みの合宿を通して、三人が強くつながったことを。
きっと今がその合宿なのだ。
かつて自分がいなかった場面に、わたしは居合わせている。
見られなかった光景。
聞けなかった言葉。
お気に入りの映画の、ディレタクターズカット版をのぞき見るような、いやそれよりももっと価値のある瞬間にわたしは立ち会っている。
わくわくしているわたしの心を、航のけげんそうな声が冷ました。
「三人って誰?」