ヘタレな貴方と強がりな私
「なっちゃんはずっとお母さんと二人で暮らしているの?」
「うん。ふたり」
「…おとうさんは、いないの?」
「うん、いないよ」
奈津のいない、という言葉に
拓也の顔が引きつった
奈津は拓也の事を覚えていないようだ
「おとうさんとどこか行ったとか、おとうさんと何か話したとか、覚えてない?」
奈津はんー、と少し考えるように
黙ってしまった
奈津に嫌な事をしている気がして
早くやめたいという気持ちにかられる
「…あのね」
覚えていないだろうと思っていたが
奈津は話しにくそう話しだした
それは奈津のキオク
私に言えなかった、記憶だった