ヘタレな貴方と強がりな私


彼女は私が逃げるように
この街を出て行ったあの日のことを知っていた
彼女の話だと
あの次の日
両親が街中の人達に
私を見なかったかと聞き回ったそうだ

大きい街ではないため
姉が失踪した話も、みんなが知っている
そして私が居なくなったことも


『みんな、元気にしてる?』


「多分。あれ以来、染川さんの家に近づく人は居なくなったわ。私の親も引退したから取引が無くなって…」


彼女の話で思い出した
私がまだ学生の頃、
滅多にこない客人の中に
彼女のお父さんがいた事を思い出した

彼女のお父さんは仲介役として
染物を老舗や大きいデパートへと卸していた
彼女のお父さんは
染川の品物を気に入ってくれていた

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