世界が終わる音を聴いた
久々にギターに触れたからだろうか。
それとも幹太に出会ったことで甦ったのだろうか。
懐かしい夢を見た。
花守さんと出会ったあの頃の夢だ。
『君も好きなの?』が、始まりの言葉だった。
彼が歌う歌のほとんどを、私が口ずさんで聴いていたからだろう。
歌えなかった数曲は彼のオリジナルだったと、後になってから聞いた。
私は自分が歌うことからも遠ざかってばかりだったし、他の誰かの歌では響かなかったけれど、彼だけが音楽と私を結んだ。
夜の街で何度も会っていたのに、お互いに同じ会社に勤めているなんて知らなくて、ある日偶然会社で遭遇して驚いた。
『え、まさか?!』お互いに指を指して周りの人には不審がられたけれど、それから距離は一気に近くなって、共に過ごす時間が増えた。
彼も私を好いてくれたし、私は確かにあの頃ちゃんと彼が好きだった。
だから付き合うことは自然のなり行きだった。
一緒に過ごした日々。
楽しかったし、充実していた。
けれど、私たちはそれぞれ別の道を歩くことを決めた。
お互いに嫌いになったわけではない。
共に過ごした時間の中で、些細な喧嘩はたまにした。
イラつくことも、飲み込んだ言葉もお互いに沢山あっただろう。
けれど私たちは、いがみ合い、嫌いになり別れたわけではないのだ。
彼のことが好きだった。
今もそれは変わらない。
だけど心の奥底に根付いてしまっていた感情に、彼が気づいたとき、私たちは離れることになったのだ。
付き合うことが自然の流れだったとすれば、別れることもまた、自然の流れだったのだ。
あぁ、別れた日の事は、そう言えばついこないだも夢に見たな、そんなことを思って目が覚めた。