世界が終わる音を聴いた

目が覚めてその汗に驚いた。
クーラーもかけずに寝ていたのだ、当たり前だ。
時計は間も無く3時を指そうとしている。
かれこれ4時間ほど寝たことになる。
起き上がってリビングに降りると、母がソファで横になっていた。
父はどこかに出掛けているらしい。

「涼しい……」

私の声に反応しないところを見ると、どうやら寝ているようだ。
リビングは冷房がついていて涼しい。
コップにお水を入れて食卓につくと、そのまま一気に半分お水を飲んだ。
体に水分が行き渡る。
ようやく肩の力が抜けた気がする。

懐かしい夢だったなぁ。
あの頃は人を好きになることがこんなにしんどくて苦しいものだって知らずにいた。
……いや、知っていたから、楽な方に逃げてしまっていたのかな。
あと4日の命なら、この気持ちはずっと私が持ち去ってしまえばいい。
長い間蓋をしてきた気持ちだ。
あと4日くらいなんてことはない。
玉砕覚悟で告白するなんていうのは、次に行くための区切りの手段。
そもそも、長い間患った恋だ。
命に期限がついたところで今さら消化するはずもなく。
“はい、終わり”にできないのが気持ちと言うもので、つまり私にはどうしようもできないこと。

「自分の気持ちなのに自分で制御できないなんて、なんて厄介なものなんだ……」

好きになろうと思って好きになるものでもなく、嫌いになろうと思って嫌いになるものでもない。
人の心の有り様はどうにも、コントロールできないのだ。



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