世界が終わる音を聴いた
恋についての決着はある種、これでついた。
あっけない幕引きだ。
音楽に対しての決着は?
これもあと4日と言う時間で、決着をつけることができるのだろうか。
結果を出す、という結末にはならなくても、もう一度向かい合えたということが、私にとって全てなら、これももう決着はついている。
諦めたもの、もう一度手を伸ばしたもの。
不思議だ。
人は命の期限を突きつけられたら、変わるんじゃないかなって思ってた。
例えばワガママに。
今までできなかったことをするだとか、パーっとお金を使うだとか。
けれど案外、命の期限を突きつけられたって、人はそんなに変わらないものなんだなぁ。
この命が終わるとしても、別に人に迷惑をかけようとは思わない。
迷惑をかけてまでワガママを貫こうなんて思わない。
あと何日、と言われても、そしてそれを受け入れてしまっても……
冷静でいられる自分に、少し呆れた。
同時に、ちょっと笑える。
ヒナちゃんと私はやっぱり姉妹なんだな。
どこまでも冷静に自分の病気を、命を見つめた姉。
私と違うのは、その生を諦めなかったところだ。
「お母さん、出掛けてくるね」
寝ている母は、聞こえているのか聞こえていないのか、うーん、と返事をしてまた夢の世界へと旅立つ。
まぁ、良しとしよう。
汗でベタつく体をさっとシャワーで流して着替える。
軽く化粧をして、出掛ける準備を整えた。
出掛け際にもう一度リビングを覗くと、母はまだ夢の世界にいるようだった。
「行ってきます」
誰にも届かない声で呟いて、私は玄関を出る。
その背に、ギターケースを携えて。