世界が終わる音を聴いた

ギターを背負って自転車を走らせているとやはり目立つのか、チラチラと振り返られる。
主にはこの辺りにはそんなギターを背負っているような人がいないからだろうけれど。
駅に自転車を止めて、背負っていたギターを手に持ち直してホームへ行くと、すぐに電車がやって来た。
時間を調べていたわけでもないのに、こうもタイミングが良いと少し嬉しくなる。
日が傾いてきた今の時間帯は、それでも十分に真昼間の暑さを覚えていて、空気がぼやけている。
せっかくシャワーで汗を流してきたのに、すでに汗をかいている。
額から顎へと流れる汗をハンドタオルで押さえて、よく冷えた電車に乗り込んだ。
電車内は乗車率40%程で、イスも空いていたけれどなんとなくそのまま、扉にもたれ掛かる。
電車のスピードに合わせて、窓には風景が流れていく。
川沿いの並木は緑が若く力強い。
秋には色がつき、冬にはその葉を落とし、春になると淡い色をつけ、季節がめぐればまた青々とした葉を生い茂らせるのだろう。


目的の駅に着いて電車を降りると、むわん、と暑さを感じた。
ここの辺りは、どうにもカラリとした暑さにはならず湿気を孕んでいる。
焼けつくような暑さや、大都会のようなジリジリとした暑さとはまた違う、嫌な暑さだなと毎年思う。
冷房が効いているだろうと、地下街に降りて、いりくんだ地下通路を歩く。
昔はよく通ったこの道も、最近はご無沙汰で、周りのお店の変わりように驚く。
もともと発達した地下街ではあったけれど、最近はまた特に力を入れて開発しているらしく、駅前も雑多なものだ。
新しくオープンしたビル、開発の目玉である駅の隣接ビルは未だに工事中とはいっても、少しずつ形が出来上がっている。
そこから繋がる地下街もその一端を担っているのだろう。

綺麗になったけれど……、知っているお店が少なくなって、もともと複雑だった地下街が余計に迷路のように思える。


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