偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「それ、柴本さんのこと言ってますよね?
他の女性ならいろんな事情が考えられますけど、柴本さんみたいな古風で真面目なタイプだと推測が難しいです…」
「…だよな」
「子供欲しいなら結婚しそうですけどね、柴本さんなら」
兼古は自分でそう言っておきながら、自身の言葉に驚いたかのようにハッとした顔をした。
何か思いついたのだろうか。
「単純に、ですけど……」
「…ん?」
「結婚、しようと思ってても出来ないんじゃないですか? 相手がいなくて」
俺はそれを聞いて、なるほどと大きく頷いた。
きっとそうだ。その理由が一番しっくりくる。
結婚できないなら子供だけでも、っていう…。
柴本は俺より2つ下だから33だ。
結婚に焦ってるのかもしれない。
焦ってもうまくいかなくて、子供だって一人じゃ作れなくて。
切羽詰まって考えたことが精子バンクの利用か?
あほかアイツは。
真面目なやつが何周かぐるぐる考えを巡らせると、とんでもない方向に行くんだな。