偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

「それ、柴本さんのこと言ってますよね?
他の女性ならいろんな事情が考えられますけど、柴本さんみたいな古風で真面目なタイプだと推測が難しいです…」

「…だよな」

「子供欲しいなら結婚しそうですけどね、柴本さんなら」


兼古は自分でそう言っておきながら、自身の言葉に驚いたかのようにハッとした顔をした。
何か思いついたのだろうか。


「単純に、ですけど……」

「…ん?」

「結婚、しようと思ってても出来ないんじゃないですか? 相手がいなくて」


俺はそれを聞いて、なるほどと大きく頷いた。

きっとそうだ。その理由が一番しっくりくる。
結婚できないなら子供だけでも、っていう…。


柴本は俺より2つ下だから33だ。
結婚に焦ってるのかもしれない。

焦ってもうまくいかなくて、子供だって一人じゃ作れなくて。
切羽詰まって考えたことが精子バンクの利用か?

あほかアイツは。
真面目なやつが何周かぐるぐる考えを巡らせると、とんでもない方向に行くんだな。

< 123 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop