偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
なぁ、柴本。
そこに名前を書けばいいんだ。書いてくれよ。
深く考えなくていい。
順番が逆でもいいじゃないか。
俺は絶対にお前を落としてみせる。
いつかきっと、俺の胸に飛び込んでくるようにしてみせる。
一人ぼっちで寂しくなんてさせない。
シングルマザーになんてさせない。
俺がお前の夫になり、家族になって、ずっとそばにいるから。
「私、柳原さんのことが好きです!」
この結婚はやはりダメか。断られるのか…。
と、さすがの俺も心が折れそうになった時。
いきなり美衣子が思いつめた顔をして俺にそう言った。
正直、耳がおかしくなったのかと思った。
バカだな。好きなのは俺のほうだ。
お前が落ちてくるのを待ってたのは、俺のほうなのに。
美衣子は俺がゲイだから、一生片想いの偽装結婚をするのかと思っていたらしい。
アホを通り越したどアホだな。
どんな勘違いをしてくれてるんだ。
と思ったものの、前に俺が女子社員にゲイだと言った冗談が勘違いの元らしいから、自業自得か?
しかし、好きな女にゲイだと思われてたなんて。
呆れすぎて乾いた笑いしか出てこない。