偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
母様は先ほどのことに関しては「そういうことじゃないのよ」と全然納得言ってない様子だけど。
喜一さんがお母様の肩に手をやり、冷静になるように促してくれた。
しかしまだ落ち着きを取り戻さないこの場に、柳原さんが新たな爆弾を投下する。
「それと。式も披露宴もやらないから」
「ちょ、響介! 何よそれ!
美衣子さん、一体どういうことなの?!」
私に訊かれても困ります。
私だって今のは初耳ですから。
どういうことなんでしょうね…と首をかしげることしかできません。
「美衣子は関係ない。俺が式も披露宴もやりたくないんだ」
「お母さんはやりたいわよ!」
「母さんが結婚するわけじゃないだろう!」
間髪入れずに言い返され、お母様が一瞬ぐっと押し黙った。
シュン、と肩を落とした姿は子供っぽくも思える。
こういうところがさっき言われていたお母様の“天然”の部分なのだろうか。