偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

「で、柴本さん側のメリットって何です?」


5Fのカフェに連れて行かれ、二人で柳原さんの到着を待つ間。
優雅にコーヒーカップを右手に持ちつつ、兼古くんがふと呟くように尋ねてきた。


「…メリット?」

「偽装結婚のメリットですよ。
決め手になるメリットがあるから結婚を決めたんでしょ?」

「………」

「何もないなんて言わせませんよ。
柳原さんは別に大金持ちの御曹司でもないし、財産目当てでもないでしょうから。
だったら、他に何かメリットあるから、ってことになります」


何、この鋭い推測。
やっぱり兼古くんは刑事か探偵業のほうが向いてる気がするよ。


「言ったら…引くから」

「引きませんよ。俺だってマイノリティーですし」


兼古くんなら聞いても引かないかな。
笑ったりもしないかも。

< 91 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop