偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「身元引受人、って感じなら、俺がなってもいいですよ?」
何よ、柳原さんも兼古くんも。
結婚を何だと思ってるの!
って…私も偽装結婚の話にのろうとしたのだから、非難する資格なんかない。
「ところで、柳原さん側のメリットって何ですかね?」
「そ…それは………」
言いにくそうに口をつぐんでみたけれど。
催促するように兼古くんが私の顔を覗き込んでくる。
「それは、柳原さんは隠したいからよ。…自分がゲイだってことを。
私と結婚すればその疑惑は晴れるでしょ?」
兼古くんは隠すつもりはないのかもしれないけど。
柳原さんはカミングアウトしたくない人なのよ。
と、わかりきってるであろうことをボソボソと言ってみると、兼古くんはうんうんと頷きながらクスクスと笑った。
いったい何が可笑しいんだろう。