咲くやこの花、誠の旗に
「母さま…」
ぽそり、と呟く。
いっそ、私も一緒に連れて行ってくれればよかったのに。
このまま一人で生きていたって、飢えて死んでいくだけなんだから。
あぁでも、最後に甘味の一つでも食べて死にたいなぁ…。
僅かに漂ってくる甘味の香りに、そんなことを思う。
「ーーきみ、何してるの?」
殆ど霞んだ視界の中に、誰かの姿が見える。
閉じかけていた目を開き見てみると、私と同じくらいの歳の少年だった。
「おいガキ何してんだ、早く行くぞ」
「土方さん見てくださいよ、変な子がいます」
「あ"ぁ?」
あぁ、なんだか瞼が重い。
徐々に目の前が暗くなっていく。
二人の会話を最後に、私は意識を手放した。