ボーイズロード ―second season―
俺も去年は茜が好きだった。振られたあともしばらくは好きだったけど、時間が経つにつれて気持ちはどんどん落ち着いていった。


石川も今は忘れられなくても、そのうち気にならなくなるんじゃないのかな。

今はクラスだって違うし、毎日会うこともないだろうから。


「そんなに深く考えることはないと思うよ。そのうち、ちゃんと忘れられるからさ」


「やっぱり、忘れなくちゃだめなのかな?
でもね、まだこんなに……」


石川がテーブルの上で、ぎゅっとこぶしを握りしめる。

その手はかすかに震えていて、ふと表情を見ると、なんだか泣きそうな顔にも見えた。


若のこと、すごく好きなんだな。

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