願いが叶ったその時…
side百合
私が、縛ってる?
ここにいることで私は夏風の
迷惑にしかなっていない…
過去のことは思い出せない…
だけど、何かがあるはず何だ
あの人が言っていた
木見谷が夏風を縛っていると…
それはいったい何なの?
「約束…」
夏風が言っていた
私がまだ4歳のころ、何か約束をした
まだ4歳だったし、極力思い出さないように
していたから、
あまり覚えていない…
だけど、それで夏風を縛っているなら
私がここにいる意味なんてない…
私はまだ貯金しておいたお金の入った
財布を持ってマンションから出た。
真っ正面からいくとバレてしまい
止められる可能性があるので、
裏から出て、私は父と過ごした家に向かった。
タクシーで住所を伝え、
お金を渡し、家の近くで降りる。
朧気だが、この道には覚えがある
父と一緒に手をつないで歩いた道…
夕日が綺麗に見える場所…
坂を下っていくと
まだ買い手の見つかっていない
家が1つだけ残っていた。
郵便受けに鍵が入っており、
私はそれで家の中に入る。
中は殆どの物が壊れており
床もベトベトして気持ちが悪い。
リビングと思われる部屋に入り
おいてあったソファに腰掛ける。
割れた瓶、倒れた苗、積み重なったゴミ袋
破れたカーテン、茶色になっている棚
そして、父と母の写真に、私と父の写真…
ひさしぶりに思い出した両親の顔
声も忘れてしまった…
温もりも忘れてしまった…
母は私が生まれてからすぐ死んで
過ごしたのは赤ん坊の頃だけ…
ほかは何も知らない…
あれ?この写真…もう2人誰か写ってる…
どこかで見たことのある顔だけど
思い出せないな…
この家で楽しかったのは父といれたこと…
父が連れてくる人たちと
遊んでいたこと…
ここで一緒に眠ったこと…
夏風は、どんな約束をしたのかな
ここで私は夏風と何を話したのかな
ソファに寝転がり、
私は静かに目を閉じた。
そしていつの間にか眠っていた。