願いが叶ったその時…






椿さんの後ろからでてきたのは
家で別れたはずの士苑だった。
どこかホッとしたような顔で
今にも泣きそうな顔をしている。



士「よかった、」


「心配かけて、ごめんなさい」


士「まったくだよ…っ、この手、」


「え、と」



ナイフで刺された手からは
夏風から渡されたタオルでおさえているも
まだ止血できない。



「大丈夫だよ!すぐに治るから(ニコ」



士「でも、」




士苑は自分を追いつめてる
今までのことも…
私が『桜花』にいたころのことも…
それをずっと悔やみ続けてしまう…




夏「…椿、こいつらの処理はお前に任せる
  好きなようにしろ」



椿「あぁ」




椿さんはいつもと声が違った。
顔つきもふざけた感じはなくて
少しだけ、怖くなった私は
咄嗟に椿さんの服の裾をつかんだ




椿「百合、ちゃん?」



「無茶、しないで」



椿「っ…うん」




頭を撫でてから士苑に何かを
耳打ちしてから
椿さんは部下を何人かつれて言ってしまった。
私は夏風に抱えられながら病院にいき、
少しだけ手術をしてもらった。





夏「手は治ったとしても動かせなくなる
  足も無理に走ったせいで
  何日かは安静にしてないといけない」



「ごめんなさい…」



夏「…なんで逃げた」



「…わからなくなったの…
 偶々、千景さんと光琉の会話聞いちゃって
 夏風が私のせいで縛られてるって…
 だったら私がいなくなればいいんじゃないか
 そう思った…
 だけど、ごめん、夏風…私、」




もうひきかえせなくなった
貴方に迷惑をかけるとわかっていても
傍を離れたくないと思ってしまう







   
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