願いが叶ったその時…
「…心配症ですよ夏風は…
私が誰かと話しているとずっと隣にいて
首に顔を埋めてくるんですよ。
すぐに拗ねちゃうけど、頭を撫でてあげると
優しく笑ってくれるんです」
凪「クスクス)父親そっくりね」
「夏風の、お父さん?」
凪「えぇ、首に顔を埋めてくるのはたぶん
父親譲りの癖かしら」
凪穂さんは何かを思い出しているのか
クスクスと笑いながら口元をおさえていた。
美人だからそれが様になって見える…
凪「でも、百合ちゃんが少し羨ましいわ」
「え?」
凪「あの子、家では全然笑わないのよ」
「笑わない?」
凪「トラウマ、なのかな…
小学校のころにいた友達なんだけど
夏風と仲良くしているのが気に入らなくて
その子がいじめにあっていたの
夏風は何度も助けてあげたらしいわ…
だけど、いつしかその子も、
虐め側になってしまった…
その日からかな…
自分は誰も助けてやれないって思い初めて
笑わなくなってしまったのは」
自分が助けてあげられなかったから
後悔しているの?
それは貴方のせいじゃない
その子の心が弱かったせいなのに…
凪「だけど、貴方の前ではちゃんと笑ってる
私はそれが嬉しいの(ニコ」
夏風と同じ柔らかい笑顔
きっと目元は凪穂さんに似たんだな
笑った顔だから口元もかな?
なら、夏風のお父さんは、なにが似てるんだろ
「あの、凪穂さん」
凪「やだ百合ちゃん!
私のことは『お母さん』って呼んで?
翠の事は『お父さん』でいいからね」
「え、えと…お、お父さんは下に?」
凪「えぇ、あ、会ってみる?」
「だ、大丈夫なんですか?」
凪「大丈夫!夏風の事だって怖がらないし」
そこまで似てるの…
いや、それはそれでこわいでしょ…
私と凪穂さん、もといい…お母さんは
外で待っていてくれた光琉と士苑と一緒に
下にある事務所に向かった。
エレベーターから降りると
部下の人達が顔を青くさせながら
廊下に並んでいた。
「どうし、たんでしょうか」
凪「たぶん、これは…組長と若頭のせいね」
「え?」
凪穂さんはため息をつきながら
部屋の中に入っていった。
部下の人達は凪穂さんを見た瞬間に
安心した顔をしていたし…