忘れたはずの恋
藤野君がお風呂に入っている間、ぼんやりとしていると涙が出てきそうなので彼の部屋を見てみる。
シンプル。
何も余計なものがない感じ。
そういえば、バイクのレースで使うヘルメットとかはどうしているんだろ。
本棚にはバイク関係の本が並んでいた。
「あ」
そこに何気なく置かれていた写真。
それを手に取る。
「ええっ…」
思わず声を上げた。
吉田総括からもらった、あの写真。
その後ろには皆で撮った写真。
「それだけは実家に送れなかったんです」
突然、後ろから声がしてびっくりしながら振り返る。
濡れた髪をタオルで拭きながらこちらにやってくる藤野君。
「ごめんなさい」
まるで物色しているみたいで。
「いいですよ、何も見られて困るものなんてないし」
ニコニコ微笑んで彼はその写真を手に取った。
「僕、あまり整理整頓が上手くないんで頂いた写真等は全て実家に送っているんですけれど。
これだけはどうしても送れなくて」
そう言って私を見つめた。
キラキラと輝く、あの目。
吸い込まれそうになる。
「これは大切にします」
藤野君は口元をキュッ、と上げて元の場所へ写真を戻した。
「お腹、空いてないですか?」
私は首を横に振る。
全くと言ってよいほど、食欲がない。
「そうですか。
空いたら言ってくださいね。
何か作ります」
そう言うと藤野君はキッチンへ向かった。
…何だろう、こんな『出来る』男子ってあまり見た事がない。
「どうぞ」
テーブルの上に冷たいお茶を出してくれた。
「ありがとう」
私はテーブルの前に座る。
「で、いつまであそこにいるつもりだったんですか?」
向かいに座った藤野君の目にまた怒りの感情が沸いている。
「…わからない」
目を合わせたくなかった。
藤野君の目は全てを見透かしそうで、怖い。
「…もう、二度とそんな事はしないでください。
相手の方の事は僕、全く存じ上げないので何とも言えませんけど、そんなに吉永さんを傷付ける人の事なんて早く忘れた方が良いです。
無駄な時間です」
私よりもずっと年下なのに。
ずっと年上のような事を言う。
情けない、本当に情けない。
シンプル。
何も余計なものがない感じ。
そういえば、バイクのレースで使うヘルメットとかはどうしているんだろ。
本棚にはバイク関係の本が並んでいた。
「あ」
そこに何気なく置かれていた写真。
それを手に取る。
「ええっ…」
思わず声を上げた。
吉田総括からもらった、あの写真。
その後ろには皆で撮った写真。
「それだけは実家に送れなかったんです」
突然、後ろから声がしてびっくりしながら振り返る。
濡れた髪をタオルで拭きながらこちらにやってくる藤野君。
「ごめんなさい」
まるで物色しているみたいで。
「いいですよ、何も見られて困るものなんてないし」
ニコニコ微笑んで彼はその写真を手に取った。
「僕、あまり整理整頓が上手くないんで頂いた写真等は全て実家に送っているんですけれど。
これだけはどうしても送れなくて」
そう言って私を見つめた。
キラキラと輝く、あの目。
吸い込まれそうになる。
「これは大切にします」
藤野君は口元をキュッ、と上げて元の場所へ写真を戻した。
「お腹、空いてないですか?」
私は首を横に振る。
全くと言ってよいほど、食欲がない。
「そうですか。
空いたら言ってくださいね。
何か作ります」
そう言うと藤野君はキッチンへ向かった。
…何だろう、こんな『出来る』男子ってあまり見た事がない。
「どうぞ」
テーブルの上に冷たいお茶を出してくれた。
「ありがとう」
私はテーブルの前に座る。
「で、いつまであそこにいるつもりだったんですか?」
向かいに座った藤野君の目にまた怒りの感情が沸いている。
「…わからない」
目を合わせたくなかった。
藤野君の目は全てを見透かしそうで、怖い。
「…もう、二度とそんな事はしないでください。
相手の方の事は僕、全く存じ上げないので何とも言えませんけど、そんなに吉永さんを傷付ける人の事なんて早く忘れた方が良いです。
無駄な時間です」
私よりもずっと年下なのに。
ずっと年上のような事を言う。
情けない、本当に情けない。