柊くんは私のことが好きらしい
私は上級生どころか同級生の話題に出るようなタイプじゃなくて。自分の知らないところで話題にされるなんて考えたこともなくて。
だからあんな風に興味を持たれると尻込みしてしまう。私、何かした?って思っちゃう。
原因なんてとっくに割れているけれど。
「うぅ~……だってさあ、信じられないじゃんかーっ」
両頬を覆って、俯きがちに本音をもらした。
騒がれるのが日常な柊くんと比べたら、どうしたって疑問に思っちゃうんだよ。
なんで私なんかを……って。
「まだそんなこと言ってんのー? べっつにひまりが信じなくたって、告られたのは周知の事実じゃん。さくっと受けるか断るかすればよかったのにさあ、保留なんかにしちゃうから悪目立ちしてんじゃん」
「だって突然すぎて、まともに頭働かなかったんだもん……!」
「それは、今なら答えを出せるって言ってるようなもんだよね」
鋭い指摘に口をつぐむ。
考える時間はいくらでもあった。それでもまだ答えを出せずにいるのは、やっぱり信じられないから。
夢じゃないってわかってる。漫画みたいに罰ゲームで告白されたわけじゃないってことも。向けられた想いが嘘じゃないってことも。
だからって、簡単に受け入れられるわけがない。
告白されることになるなんて、1週間前の私は想像もしていなかったんだもん。