柊くんは私のことが好きらしい

機嫌を損ねさせちゃったかもしれない! だって柊くん、ちょっと口とがらせてるし……。


「あのさあ、普通に背中押してって言えばよくない?」


目を見開いた柊くんと同じように、咲を見つめる。おろおろしていた私の頭の中では静かに疑問符が増えていく。


「おまっ、やめろよ! そういうんじゃないから!」

「咲にはそう見えただけだし。ていうか咲的には学園祭よりハロウィンパーティーしてって感じー」

「それ、仮装できればなんでもいいんだろ……」


自身のネイルを眺める咲は茶々を入れてきただけなのか、私も柊くんも会話の続きを失ってしまった。


……え。なんなのこれ。私にどうしろっていうの……!


と、とにかく、柊くんは、背中を押してほしい、ってことで、いいの? なんで? どこに不安要素があるのか、さっぱり……。


何をすることになっても、柊くんが嫌がるとは思えない。イベント好きで楽しそうなことにはすぐ飛びつくし。


「えと……でも、学園祭ってある意味仮装パーティーみたいな感じ、あるし……柊くんは何着ても似合いそう、だよね?」


咲に助け船を求めたものの、


「いや、そんな超人いないから。似合う似合わないは誰にでもあるでしょ」


秒で否定された挙句、柊くんからの返答もない。むしろ納得しちゃってるよ! おかげで表情がさらに曇って見えるよ! なんで!?
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