柊くんは私のことが好きらしい
コケてネタにされたくない、なんて。本当にそんなこと思ってるのかな。主役に推されるって、集客率とか稼ぎも当てにされてるってこと……だよね?
みんなの期待に応えられるかが心配で、ちょっぴり不安、とか?
そんな風に感じる必要、ちっともないのに。
「大丈夫だよ」
感じた言葉そのままに、柊くんを覗き込む。
「毎日必ず1回は、他のクラスの人が柊くんを訪ねてくるんだから」
同級生からバスケ部の先輩、たまに先生までと幅広い。校内のどこにいても声をかけられる。そんな人1年生で柊くんくらいなのに、お客さんが来ないなんてありえないよ。
目をまんまるくさせていた柊くんの首が、こてんと倒された。
「よく見てるね」
「……、へ?」
よく見てる!? そりゃ見てるけど! 咲に怒られたばっかだけども!
細められた目に何かを見透かされそうで、じわりじわりと顔が熱くなってくる。
「いや、あの、えっと、見てるというか、」
見てはいますが、個人的に、ってわけじゃなくて。誰もが知っているであろう事実を言ってみただけでして……決して毎日盗み見てるわけじゃ……。
言葉を続けた分だけ墓穴を掘りそうで、頭が下がっていく。