柊くんは私のことが好きらしい
「まあ、福嗣にアゴで使われるのも腹立つし」
えっ、流された!? なんだか急に声が明るくなった気がするんですが!
「福嗣も仕切り屋だけどさぁ、上手さで言ったら小鷹じゃないのー?」
「あー、確かに。小鷹のヤツ、実行委員までやりそう」
咲と会話する柊くんの様子は、いたって普通だ。
私が柊くんをよく見ているのかどうかって話は終わったの? 赤面しちゃったままなんですけど?
からかわれている気がして、まんまと引っ掛かってしまった気持ちにもなって、いたたまれない。
ああ……くそう。こんなんじゃ私、意識してますって言ってるようなもんじゃん。
「咲はめんどくさくなきゃなんでもいー」
「俺だって楽しめるならなんでもやるけどさー……1日中交代なしはやだな」
「……」
ちらり。会話が止まった隙を伺えば、柊くんとばっちり目が合ってしまった。
「た、確かに交代なしは大変そうだけど、どうせ楽しむなら1日中楽しめたほうがいいよねっ」
「それじゃあ俺、ひまりと学園祭回れないじゃん」
笑顔を浮かべた私は再び石化が始まったようで、咲は「そこかよ」と冷静に突っ込む。上目で見つめてくる柊くんは気恥ずかしそうでいて、意地悪そうな表情のまま。
「そう思いませんか」
なんて、そんな風に聞かれたら、心臓がうるさくてまともに答えられない。
せっかく、せっかく、自然な会話をしようと意気込んでいたのに!