柊くんは私のことが好きらしい
「でも、難なくクリアできそうな気がする」
「ないわー。女子は知らないけど、男子は小鷹が無様にプールに落ちたほうが面白いでしょ」
「それは……なんとも」
擁護しづらい状況ではある。
「航海士オーダカ、波が静まったところでうまく着地し、難なく第一関門突破ぁ! しかしメグームまではまだ距離があるぞ!」
ふっくんが実況する通り、25メートルプールの最奥には柊くん扮するメグームが遭難していて、彼を助けるまでの道のりで様々な妨害を受ける。
スタートは4つの飛び込み台から選び、四方1メートルほどあるスポンジのようなものに、うまく着地しなくちゃいけない。
今まさに第二関門へ向かう小鷹くんは大きく踏み出し、縦50センチあるかないかの丸太2本を足場に、左右に括りつけられたロープを命綱に前へ進んでいく。
第二関門だけにロープを設置するのはなかなか大変だったけれど、実際に人が使っているのを見るとなんとも心もとない出来だ。
「ああーっと! ここでオーダカ、横殴りの雨にさらされるという不運! 顔に直撃です!」
「くっ、」と咲が吹き出すから、つられてしまった。
ふっくん、生き生きしてるなあ。
第二関門の両端には、ひとり用のボートに乗り、シャチの形をしたフロートに掴まるクラスメイトがそれぞれ水鉄砲を手に、小鷹くんの進行妨害に努めている。