柊くんは私のことが好きらしい
「でもやっぱり男子の挑戦者よりは、女子に優しいアスレチックになってる感じかなあ」
「まあ全部そうなるとは限らないでしょ。妨害もやりすぎたらブーイングだろうし、小鷹が許さない」
「小鷹くんと言えば、水も滴るいい男だったね~」
「はあ? 顔だけじゃん。咲は腹抱えて笑ったよ」
思い出し笑いをする咲の横で、私はまた水しぶきが上がるのを見ていた。
安全確認の名目で一度だけチャレンジしたときは成功したけれど、実況やギャラリーがいるとでは感覚が違うのかもしれない。
クリアした数名の人たちは景品をもらったら帰ってもいい権利を放棄したようで、柊くんの後ろ――特別席として与えられた場所で、真正面から水上アスレチックを観戦していた。
「えー……早いもので、メグームが遭難して1週間!」
「本当にはえーわ」
アドリブ満載すぎでしょ、と咲がプールを覗き込む。
「孤独な浮島に慣れてきたのでしょうか。それとも希望を捨てたのか!? メグーム、まさかの日曜日のお父さんスタイルです!」
どっと笑いが起きたのは、大人しく座っていたはずの柊くんが、寝転び頬杖をついたことを指摘されたからだ。
「それが助けてもらう奴の態度か!」
「暇アピールしてんじゃねえー!」
ふっくんに指差され、着水しているクラスメイトからは水鉄砲を浴びる柊くんは笑っているように見える。