柊くんは私のことが好きらしい

確かに主役の回とは言え、じっとしているのが仕事な遭難役だから、救出されないと飽きちゃうだろうけど……つまらない、で終わらせないのが柊くんらしい。


「え? なんだって? ……腹、が、減った? なんということでしょう! メグームは飢餓状態! これは大変なうっかりだ!」

「うまく繋げるねえ……」


柊くんのジェスチャーにより、急きょ次の挑戦者には食べ物を持って挑んでもらうことになった。


「ギャラリ―からかっぱらった菓子パンだけどね」


それでも、周囲を巻き込むことで一体感のようなものが生まれている気がする。みんな楽しそうだ。


食料は無事届けられ、黙々と菓子パンを口に運ぶ柊くんの行動はふっくんたちに茶化されながらも、挑戦者は後を絶たなかった。


チャレンジ失敗が続き、胸がどきどきと早鐘を打ち始めたのは、気のせいじゃない。


「さあ、残す挑戦者はあとふたりとなりました!」


あっという間だったなあ……。


「ここまでメグームを助けられたのは1、2……6人! 意外に少ない! ……え? なんですかブーイングはやめてください。こちとら入場料無料なのに景品まで用意しちゃってカツカツだってのよ! 菓子パンくれた人本当にありがとう! 声援もあざっした!」


ふっくんの実況もそろそろ終わるのかと思うと、少しだけ寂しい気持ちにもなる。


結局、柊くんと学園祭を回れる時間は作れなかったなあ……。


受付は30分前に閉めきり、一般公開が終わるまであと40分。私たちのクラスは撤収に時間がかかると予想し、早めに終わらせることになっていた。
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